chapter 4
東日本大震災

2011年3月11日、未曾有の災害が我が国を襲った。自然災害に加え、人為的災害ともいえる福島第一原子力発電所の炉心溶融は、人類の浅薄な英知を根本から覆すものだった。総理大臣諮問による「東日本大震災災害復興会議」が持たれたのは地震発生から1ヶ月後の4月だった。
構想会議の特別顧問である哲学者の梅原猛氏は次のような発言を残している。

この災害は天災であります。同時に人災の面もあります。けれども、そればかりではなく、私は文明災の面もあると思います。文明が災害に遭った。原発を造って、人間の生活を豊かにし、便利にする。そういう文明がまさに災害に遭った。今、文明が裁かれていると思います。この文明の裁きに対してどういう答えを出すか。エネルギーの問題、恐らく太陽光や風力などのエネルギーの問題の開拓と同時に、人間の文明が変わらなければならない。聖徳太子の「和」の文明、利他の文明に変わらなければならない。
(4月11日復興会議議事録より)

今も原発の現場では、自らの身の危険を顧みずに復旧作業にあたっている作業員の方もいらっしゃる。日本人には、本当に立派な人がいると感じる。
こういう心を皆が持って、新しい国づくりをしていかなくてはいけない。そして、新しい日本が模範となれば、世界をも変えていけるのではないか。
今こそ、経済力だけでなく、新しい価値観で世界に範を垂れる国をつくるときだ。
(4月5日東洋経済オンラインより)

砂上の繁栄を見せつけられ、政府の遅速な対応ばかりが聞こえてくる中で、この発言に私は救われた。

2012年4月 震災1年後の石巻

写真 2012年4月 震災1年後の石巻

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