chapter 5
新しい価値観

梅原猛氏の発言の中の「経済力だけではない、新しい価値観」という言葉が、心に強く残った。新しい価値観とはいったいどんなものなのだろう。頭の中では、ずっと前からぼんやりと見えてはいるのだが、もうひとつはっきりとしない。
それを整理してみることにした。

<生活の中の新な価値観>
「震災後に見直したもの」という調査を生命保険会社等が行っている。
/仕事が優先と考えていた人が、家族が優先と考えるようになった。
/出世をしたい、高収入を得たいと考えていた人が、働くことにより自己実現をしたい、社会に貢献する仕事をしていきたいと考えるようになった。
/理想の人が現れるまで結婚しないと考えていた人が、結婚して家族と暮らしたいと思うようになった。
高度経済成長の中で、所得が上がり続けるという幸福幻想から離脱した「家族と絆」という新な幸せの形である。

<ブータンのGNH>
GNHとはGross National Happiness の略語であり、国民総幸福量と訳される。GNPが国の経済的生産による「豊かさ」の指標であることに対し、GNHは国民の精神面での豊かさの評価を目的としている。
ブータンでは1972年にこの指標が取り入れられ、GNHの増加が政策の中心に据えられた。国民の幸福度は順調に伸び、2005年の調査では国民の約九割が幸福であるという結果が出た。
しかし近年、インドからの資本主義経済の流入が急速に進み、この国の「心の豊かさ」は「所得の豊かさ」にその座を奪われつつある。

<世界価値観調査>
世界価値観調査(world Value Survey)は世界各国の社会文化、道徳、宗教、政治の価値観を調査する国際プロジェクトで、1981年に始められた。中でも幸福度の調査は時代を写すデータであり、毎年上位には北欧諸国がランクされ、下位は紛争問題を抱えた国々が並ぶ。
幸せを決める要素は、所得(富)が圧倒的に強いものだったが、近年これに変化が見られるという。所得に加えて、「多様性」と「コミュニティー」が幸せの因子として出現した。

デンマーク・ルイジアナ美術館

写真 デンマーク・ルイジアナ美術館

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